
d_625558 骨折して 母ちゃんと甘甘(あまあま) 介護生活。
柊美鈴《ひいらぎ みすず》 「よっ!! 優《ゆう》、元気してだが?」 ちらちらと雪が舞う中、田舎から母ちゃんが俺のアパートにやって来た。「しでねーよ!!」 交通事故をおこした俺の両手両足は包帯でぐるぐる巻き。 骨折した両手はギブスで固められ、打撲した両足はどす黒く腫れ上がっている。 少ない可動部位を使いベットの上でジタバタ抗議する。「ははっ!! 元気元気!!」 母ちゃんがニシシと白い歯を見せ意地悪に笑う。 柊美鈴《ひいらぎみすず》 先日43歳になったいいおばちゃん。 元看護婦で今は介護施設で働いている。 長い黒髪を1つに束ね、仕事のとき以外は化粧をしない素朴な女性だ。 銀世界のように白い美肌。 雪山のように高い鼻。 冬眠から覚めたような眠そうな二重。 みかんの果実のように瑞々しい唇。 雪の丘のように柔らかい顎のライン。 身内びいきだけどすごい美人だと思う。「きっだねー部屋だな、お母ちゃん当分こっちゃ住むがら」 きょろきょろと部屋を見渡した後「感謝すろよ」と言い豊かな胸を張る。「うん」「まあ息抜きもかねでっげどな、にしし」 白い歯をむき出しにして意地悪そうに笑う。